お寺に行ってきた
階段がとても多い
階段の横には湧水がある
傍に手桶がおかれていて
水かけ不動明王様がたっている
外出が制限されていた時
ここから手桶がはずされて
張り紙がしてあった
【「洗心浄化」とお祈りしながら
心の中にお不動さんを思いえがき
お水をかけてください……】
水かけお不動さんが
どんなご利益だとか、どこにも書いていない
私は勝手に「水をかけたところの病が治る」ものだと
思い込んでいた
張り紙を見て気が付いた
お不動さんにお水をかけて
「己の心が洗われること」を
願うところだったんだ
勝手に「目! 肺! 腸!」と
良くなる様に祈りながら
狙いをつけて水をかけていた
私の目と肺と腸の心が洗われていたに違いない
(私は内臓にも心があると思っている)
都会の真ん中
水の音を聴きながらのぼる
本当は梅を撮りに来た
参拝して「梅を撮らせてもらいます、
ありがとうございます」と
心の中でお伝えした
お堂の中はしんとしている
外にはたくさんの人たち
少しゆっくり目に話しながら歩き行き交う
だいぶ前にこのお寺のどこかで
「普段よりゆっくり静かに呼吸してみましょう」と
書かれたものを見た気がする
自然とそうなるのか
人たちはみんな
いつもよりゆったりしているように思える
よく見るといろんな種類の梅が咲いている
煙の出るところを前に
「吸う? 喉なおるかも」と
人たちが騒いでいたので
『こんな感じさ』という気持ちで
煙をよせるように手を動かして、頭にかけてみせた
たぶん、こんな感じなはず
頭がよくなるとか聞いたことがある
顔を上げた
ちょっと目が合った
お不動さんと同じく
何かが違う気がしてきた
違っていたらどうしよう
「こいつ、頭に煙りかけてどうしたいんだ」だの
思われていたらどうしよう
お堂の近く
少し歩いたところに「弁財天」と書かれたお堂がある
道なりに入っていくと
お賽銭を入れるところに「弁財天」と書かれていて
目の前に「恵比寿」と書かれていて
恵比寿さまらしき石の像がおかれていた
不思議なお寺で
祈っているうちに、少しだけ心が落ち着いてくる
ちょっとだけ、いろいろなことに迷っていた
神様仏様はお見通しなのかもしれない
「そうじゃないよ、本心はこっちでしょう?」と
見せてくれたものは
童心のように、素直なものだった
忘れたくないものだった