おひさまの光@写真と水彩画のBLOG

「湯と草」

草ははえて
ひにあたり
のびてのびて
雨を浴びた

草は風に寝転んで
たおれてたおれて
少しちぎれ

草は流れ

草は流れて 流れて
風に流れ

草はあたたかな
お湯のたまるところに
ぽたりと落ちた

こんとんとし
とけて、とけて
お湯とひとつに溶けあった

湯にまじり

幾度となく
沢山の月と
太陽を見つめた

たくさんの命の
痛みや涙を
かかえたものが
繰り返し くり返し おとずれ
湯になった草は
彼らの背中を
優しくなでた

――命は痛いものだね
――きっと微笑むこともある

のぼる月 おりる月
のぼる日 おりる日
ひかりを浴びた

とけてとけて
そろそろ草のひとかけらも
とけこんでしまうころ

湯の中に
ぽとりと
新しい草が舞い降りた

温泉という不思議なものが好きなので
よく温泉について考えている

鉱石が溶けているんだと思う
地中で温かくなった(熱くなった)湯が
ゆっくり石を溶かして
その石の成分が、なにがしかになり
からだに良いのだと思う

「草も溶けるのかしら」と思う
たいていは石が溶けているのだろうけれど
なかには「薬草」が溶けているのもあるのかもしれない

温泉は、石が溶けていて
たまに草も溶けている、たぶん
それはもう、地球がひとや命を
あたたかくしてくれているんだ

「温泉」は、とても大切にしたいと私は思う

Tags

WebClap

▽Wordpress.comユーザーは下の「いいね」でお気に入りができます