よさせやよさせや!とばかりにやる気になった私は入笠山のヒュッテ入笠山(山小屋)へ泊まることにした
おりしも6月のすずらん祭りの最中に、である
一つに朝方のすずらんが見たかったこと、何時間でも見たかったこと、ともに
これは自分への試しでもあった、体力はもつのか、精神力はもつのか、少しばかりハラハラしながらそれでもエイヤッと勢いつけて申し込んだのである
最初は8-9でとっていたが、何故か台風が発生して温帯低気圧にかわり雨を降らせたので9-10と日付を変更した
入笠山はいちどハイキングにきたことがある。人気の山で、梅雨はすずらん祭り、夏もなんやかんやと花の盛り、秋は雲海ゴンドラ、冬も冬で初心者向けの雪山ということで、人が途切れることがない。前に来たときはバスが2台でて、2台とも満車だった。
駅につくとすぐ目の前に長蛇の列。無料送迎バス待ちの列だ。しかし私の荷物は大きい。なぜだ。周りを見渡してもこんな大きな荷物は私しかない。何故。泊まりだからだろうか。前も大きかった。
おばさん方が「今日曇りなのに混んでるわね、空いてると思っていた」と話している。これで入笠山はすいてるんですよー、と、前の混雑と比べて私は思う。
バスでブッブーと走る。10分でつく。ゴンドラにのり、楽々山の中ほどまでつく。私はまずヒュッテ入笠山にむかった。荷物がでかくて重くて辛いからだ。なんと私の今日の荷物は多段式なのだ。なかに薄くて小さめのザックがすっぽりはいっており、そこに山行散策に必要なものがすべてそなわっている。ザックのマトリョーシカなのだ。
ヒュッテ入笠山では快く部屋まで案内してもらう。ランチは食べますか、と聞かれる。いえ、おにぎりを3つもってきているので、と答える。いらん答えだった。
ヒュッテ入笠山2荷物をおいたら、すぐに軽くて楽ちんなザックにかえて、スズランを見に行く。

山頂まではいかない。曇。いや、霧に覆われていて、景色は何も見えないだろう。でもいくひと沢山居るようだ。すごいなぁと思う。私はヒュッテ入笠山に向かうまでの坂道でぜひゅぜひゅして、もう無理かもと思ったのに。
なんとカメラが壊れた。シャッターが切れない。なにこれ。重いだけの荷物とかした。うそでしょ、と思わず言いながらインターネットで「シャッターが切れない」などと検索しつついろいろ試してみたところ、駄目だった。
(なんだこれぐらい、私は絵描きだから大丈夫)、涙目でもう帰ろうかと思うほど落ち込む。鉛筆と携帯カメラをもって、とりあえず携帯で撮りながらデッサンをした。

あれ、これでよいかも…? 今どきの携帯はずいぶんよく写真が撮れるもんだ。
すずらんを探して歩く

最初はよく分からなかったが、よく見ると葉の影に沢山咲いている、香りがするって記事を読んだことがある。深呼吸してみる。やさしい、甘い香り、無垢な砂糖のような香りが満ちている。心地よい。
人もあまり居ないので、ラフな写生を思う存分におこなう。意外とすずらんの花はぽってりとして粒大だ。携帯で撮りながら、ラフを描きながら、心の髄まですずらんにひたる。

花畑と湿原を行き来した。入笠山湿原は看板かあり、案内のままに進むと甘く清々しい香りがして来る。空気中にスズランが満ちる。たくさんのたくさんのスズランが咲いている。やわらかな緑のかげに、星屑のように散らばるすずらん。
上から降りてくると特別なみどりの海を歩くようだった。堪能。

ヒュッテ入笠山に戻り、荷物をちょっと整えたら夕飯。あまりに美味しくボリューミー。とても美味しい。タンシチューも別で頼んだ。食べ過ぎてお腹がはちきれんばかりになり、寝転ぶしかなかった。お弁当が頼めると張り紙でみかけ、明日の昼のお弁当を頼んだ。
夜。緊張のためかなんなんだかトイレが近い。トイレのドアは簡易的なものだ。何故か人など入ってないと思い込んで渾身込めてあけようとしたら開かない。え、こわれているの?ともう少し渾身込めた。ドアがきしむ。なかから焦ったように叩かれた。すいません。人など入ってないと思い込んでました。
朝5:00、そっと外に出る。ヒュッテ入笠山の前はすぐに花畑だ。しずかな道を歩いて花畑にはいると霧が出ていた。乳白色の霧が視界のはんぶんを覆っている。風にのって、山の上のほうにゆっくりすすんでいる。

霧のなかのスズラン。あまりに可愛らしい。カメラが壊れているのが悔しい。霧と甘いスズランの香り満ちる中、やわらかい黄緑のすずらんの葉がそよぐ。この山の気をずっと覚えていたいと願う。
花畑と湿原をとにかくゆっくり歩いて、早朝のスズランと景色をこころにしまいこむ。



朝ご飯。帰るとすぐに朝ご飯だった。美味しいパンと目玉焼き、ベーコン、朝カレーもたべた。とてもおいしい。お昼の弁当をもらい、荷物を置かせてもらって、大阿湿原まで散策に出た。
いちど入笠山の山頂まで行こうとしたが、岩がすごく道がぬかるんでいたので止めた。私の足では転ける気がした。
大阿湿原までの道はゆっくりした坂道のあがりくだりで、なんの危険もない。つくと静まり返っている。一周するのに30分ぐらいらしい。左からまわることにする。
木々とヤブで森林浴。途中しげみがガサガサッと揺れて何かがこちらに来た!!くまか!!すごい怖い。神に祈りながら鈴をめいっぱいふりながら逃げる。いや無理。怖い、苔むした木々や岩があり、とても綺麗なんだが怖くて早足でかけ去ってしまった。
まわり道の帰り道、うってかわって草原と木々の広々とした景色がひろがる。途中湿った水に白い花がちらりちらりと舞い落ちていて、言葉にならないほど美しかった。



ヒュッテ入笠山まで帰り、お世話になりましたと挨拶をして帰還に入る。山の山草園の、山景色が見えるベンチでお弁当を食べた。すごいボリューム!!めちゃくちゃ美味しくて、お腹そんなに空いてないのにペロリとたいらげてしまった。
あまりに疲れて足がパンパンになったので、散策はこれで終わりにして帰ることにした。帰りに山草をもらう。この時期ゴンドラにのるとくれるらしい。
バスは15:00まで出ないので40分あるいた。山を歩いているときより、どんどん飲み物が消費されていく。こわい。とうとう飲み物がつきそうになったとき、救世主のように自販機があらわれた。ライチジュースを買う。もう足がパンパンです。さいごに坂道がつづいて本当にきつい。たどり着けないかと思っちゃった。
山草もぐったりしている。枯れてしまわないかこれ。
帰りの特急券をとりなおして、すぐに乗ることにする。
ヤマレコで行動を記録してもらっているし、ココヘリにもはいっている。私はそそっかしい上に体力もあまりないのでなにかあったら怖いからだ。ヤマレコはgpsでイマココの行動を図でしめしてくれる機能がある。帰りの特急でその機能を切るの忘れて、とんでもない距離の直線ができた。