雪が降るでしょう、と
いわれていて「大雪でしょう」と
いわれていて
とてもドキドキしていた
雨の中の梅も美しかったけれど
雪の中の梅も、きっと美しい
あまり降らないから
梅と雪のタイミングがあうの
はじめてかもしれない
いや、二月は結構、雪降っていたっけ
雪が降りだした
ので、雪の中
梅の花を撮りに行った
寒かった
あーだいじょうぶ、これぐらいなら平気です
と、思っていたのもつかの間
信号を待つ間、足の指が凍えだした
夜が明けるころには
もっと雪が積もっているだろうから
梅の花も凍えてしまうだろう
凍るような梅の花も
きっととてもきれいに違いない
朝にも撮りに来ようか、
しばらく考えた
雪はだんだん吹雪いていった
ああ、都会で吹雪に会うとは
都会っ子はきっと雪というものを
あまり理解できていないのだろう
吹雪の中、ひとたちがのんきな立ち話をしていたり
素足に近い足で若い子が歩いている
傘だけはしっかり握って。
なんだかはらはらしてしまった
すこしだけ
梅の花が凍っている気がする
カメラに水滴がついて
ぼんやりぼやけてきた
少しだけ、花に雪がのっている
寒くてブルブルしたけれど
美しかった
美しいはおなかがいっぱいになるのと似て
たくさん満ち足りて、無意識に深呼吸を繰り返していた
「これはストレスにいいわ」
とか、変なことを考えていた
「花は美しすぎるから、描くと負けてしまう」
そういったのは、誰だっけ
ああ、花と勝負なんかしないよ
でもいずれ、私なりの「こころが満ちる」絵を
描いていきたい
花に学びながら、そういう絵を描いていきたい
鴨の背中に雪が積もっている
しずかに、たくさん彼らは集まっている
きっとあつまったほうがあったかいんだろう
寒い時の、カモの知恵なんだ
帰りだすと、もっと雪が降ってきて
あちらこちらへ積もりだした
すこしだけ、切り上げるのが早かったかしら
もっと居れば、もっと雪のつもった梅が
見られたかもしれない、と
思った、けれど
つもりだした雪に足をとられて
何度も転びそうになる
こいつぁこれ以上ここにいたら
転ぶなんてもんじゃねぇ、下手したらヤバいぜ。
とっつぁん俺あおさらばすんぜ
心の中の似非ルパンが叫ぶ
夜じゅう雪は降っていたようだ
朝方、雷が鳴っていたらしい
誰かが暴れている音かと思った
何回も鳴っていたらしい
何回も何回も「どうしてそんなに暴れるんだ」と
思っていた
むしゃくしゃしていたんだろうな…、と
その人の気持ちが落ち着くように、寝ぼけながら願っていた