中島みゆきの暗い歌が橙から紫色に染まって
今明けようとしている空に響いていた。
誰かが歌っているのか、それとも幻聴か。
気がつけば私はビニールでできた
おもちゃの城の前にいた。
げっげっげと、
二匹のカエルが門番のように城門の前でみゆきの歌にあわせて歌っている。
一匹は緑で大きなガマ、
もう一匹は鮮やかなオレンジ色の小さなカエル。
誰かが私の耳に何かをごちゃごちゃと囁いていた。
隣に誰か居るらしいが私はそれを確かめなかった。
私の目はカエルに釘付けだったから。
私の目の前でカエルの口が裂けていく。
歌いながら裂けていく。
赤い赤い口を見ている。
二匹のカエルの口が赤く裂けた。
口の中に白い紙切れがあった。
丁寧にたたまれていたので私はそれを取って広げてみた。
「あけまして」「おめでとう」
目が覚めてちょっと呆然とした。
山の麓で私は遊んでいた。
私は7つか8つぐらいだった。
おかっぱで目がくりっと下女の子だった。
遊んでいた場所は山の頂から伸びるコンクリートの道で、
木々が道の横に乱立していた。
木々と道との境にコンクリートを盛り上げて雨道を造ってあった。
母は看護婦さんでピンク色の制服を着て帽子をかぶり、
知らない人と喋っていた。
私はそのそばで遊んでいた。
雨が降ったらしくて雨道が氾濫して水たまりが出来ている。
大きいのと小さいのと。
私はそれで遊んでいた。
水たまりは黒く、泡が立っていて、泡は七色だった。
石油である。
ぱちゃぱちゃと遊ぶ私に、母が「水たまりに入っちゃいけないよ」と言った。
毒だからだ。
私はうんうんと頷いて、水たまりのすぐそばに寄ったり離れたりして遊んだ。
いつの間にか来ていた妹に、「火をお持ち」と命令すると、
妹はマッチを擦って森に投げ込んだ。
森はたちまち勢い良く燃えさかり、ゴウゴウとうなり声をあげた。
(石油が流れてるんだ、木々は石油を吸って生きてきたから燃えるのだ)
と思った。
(場面転換)
山がゴウゴウと夜空に向かって燃えている。
そのそばで警察と妹と母とで手を繋いで立っていた。
その前にお婆さんが居てしわくちゃで、そのお婆さんは「村長」であるらしかった。
警察は村長に向かって
「お婆さん、山で遊ぶ物が居ないと子供は火をつける物なんですよ、
昔は居たでしょう?鹿とか。
(弓で鹿を射るイメージ)
鹿がいなくっちゃ、火をつけるしかないでしょう」
と私たちを庇っていた。
お婆さんはごちょごちょと何か言って怒っていた。