友達と暗い夜道でハーゲンダッツのアイスを買いました。
私はバニラレーズン、彼女はリキュール。
ふたりでぽてぽて歩きながらアイスを食べます。
「レーズンはサイの角でつけるんだよ」
「へぇ、そうなんだ」
だから奥深くまでレーズンが入っているのだなぁ、と私は思いました。
道の角に来て、ふと、振り返ったら、
いっぱいの犬が人に引き連れられて来ました。
しかも何匹かは縄すらつけていません。
私は無性に怖くなって、車道と歩道を分ける白い柵(円←こういうやつ)
の一段目にコアラのように、ぶら下がって、
犬から逃げようとしました。
ここなら犬もとどくまい、と思ったのです。
友達は慌てる私を冷静な目で見て「怖がるから噛まれるんだよ」と言いました。
事実、犬はぶら下がる私にうーと唸って
がぶりとお尻を噛みました。
ちょっと高かったけれど、犬が噛むには十分の高さだったのです。
私は「うひゃあ」と叫んで、駆け出しました。
(いきなり場面転換)
私は道の角を曲がって少し行ったところにある、
時計台(とても高い、木より高い)の一番上に猿のように掴まっていました。
父が私の尻を支えながら、
「ここにいれば、大丈夫だからな、動くなよ」
と言いました。
私が見下ろすと、友達が犬らに追われながら両手を上げて、
あっちの方へ逃げているところでした。
父が「とう!!」と叫んで飛び降りました。
友達を助けに行くのでしょう。
すると犬らは父に気がつき、「がー」「うー」と唸って
父を追いかけだしました。
とても高いところに居たので、父の悲鳴は聞こえませんでした。
修学旅行をしていたんだっけか
よく覚えていない
家に帰るにはまだ道のりがある
だいぶ雨足は強まり
途中で夜になりそうだ
宿を借りることにした
ちょうどよく
道端に宿っぽいものをみつける
木々は青く黒く
さびれた匂いがする
ふるく、どっしりとした
丁寧にすごしている
日本のやしきのにおい
かんばんは
達筆な字で読みにくい
突然だがとめてくれるだろうか
ドアを開けて、すいません、と
たずねたら
あいにくの雨脚で
満員なのですが
普段はとめない部屋があいているという
宿前の空き地は
ちいさな白い花が咲いていて
草のにおいがする
そこでよいからとめてほしい、というと
あんないされる
まるで迷路のような宿だ
途中、人が寝ている部屋を
しずかにはいり、しずかにわたり
しずかにでる
細い廊下をいったりきたりする
そういえば
雨で体がひえているので
風呂にはいりたいが
こうも入り組んだ迷路のようだと
迷惑をかけるだろう、と
今日はこのまま
寝るしかない、と思う
通された部屋は
ちいさく畳がすこしにおう
おくまったところに
無数のおかっぱの日本人形があって
真っ黒な目でこちらを見ている
おそろしいな、と思うが
つかれているから、布団をしいて横になる