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世界の物語

殿様と草津

旦那様をお殿様とよんでいた
ふざけていたのか
それともほんとうに
どこかのお殿様だったのか

ザルに梅干しあけてさ
友達の男の人と
ひとつひとつよりわけて
美味しくできたね
きっと美味しい
なんて笑っていた

お殿様も
うまいというね、これはね
なんてな

……

戦争が各地でおこっていたんだろう
お殿様は
よく旅に出たまま
帰らなかった

土用の梅干し
美味しくできたものを
かわしてようく乾かして
金の糸をハシからどうして
守護の結び、
神の守りといわれていた
結び方で
私は、彼の腰にお守りつけた

彼の代わりに
あぶなくなったら
この実がおちますように、と
祈って

……

なんどか
梅の実は、おちて
彼は怪我を背負って
帰ってきた

……

少し年を取って
だいぶ世の中も落ち着いたから、と
お殿様はお城からおりた

お殿様と、幼馴染の青年と
わたしで
ずっと
やりたかったことを
すると言って
お城は他の人に任せて、降りた

……

草津の湯に
ゆっくり旅をして向かった
なんだか
たのしくて
ずっとニコニコしてしまっていた

人の口にのぼらない隠し湯を
お殿様はみつけてきて
私と、青年と三人で浸かった
なんだかそういう人だった
2017-10-13 07:00:00
世界の物語

パンと薬草

白い壁が砂っぽい
石を積んで
やわらかい毛皮を引いた寝床から起き
石の床に足をつける

くりぬいた窓から
街並が一望できる
ここは崖の上にあるから……

お寺だったのか
なんであったのか

そこの部屋は
大きな連らなりのひとつで
十人そこそこの僧侶と
私は住み込んでいた

龍のような
ながく、くねった
ぺたんこの部屋の連なり
龍の頭のところは
東にあって
そこむかうと
一際大きな広間があって
ここもやはり
広めにくりぬかれた窓から
海がみえ
太陽がみえる

わたしたちは
とても自由にすごしていて
起きたいときに起き
寝たいときに寝ていた

それでも朝日がのぼるとき
下に広がる海から見える
金色の太陽は
息を呑むほどで
日の出の時間になれば
誰ともなく、起き出して
広間につどった

……

薬草畑と
畑があって
牛や馬、羊、鶏、
犬猫なんかが
放し飼いにされていて

たいていの食べ物は
そこでとった

……

畑と池をすぎて
すこしいくと
赤い土をもりこんで
つくられた壁があり
庭ごと、崖の上の連なるすみかを
ぐるっと取り囲んでいた

出入り口に
門のようにたてられた
赤い二本の柱には
金で龍の装飾がほどこされていた

そこから、よく
崖下のまちから
ひとがおとずれた

……

私はパンのようなものが好きだった

畑からか
どこからか
麦ににたものと
イモのようなものを
とってきて
ふたつともすりつぶし、
まぜて、こねて
とってきた果実や薬草
木のみをいれて
薄くのばして竈で焼いた

やけるころには
仲間の僧侶たちが
香りに連れられてやってきた

だからいつも多めに作った
2017-10-12 07:00:00
ずいぶん乾いた砂地に
たくさんの
赤銅色の土でつくられた
住処がたちならんでいる

銀色の月と
あかくて熱い太陽が
私達の神様だった

あの頃は
神様も現実で
神様とともにあるのが
生活で、日常だった

……

まだ3つを数える前に
私は不思議な集団にとらえられ
地下の、奇麗な檻に
いれられた

母も、父も
檻のとなりに
部屋を与えられ
なにかをしていたから
怖くはなかった

幼馴染の男の子や
奇麗なおねえさんも
強そうな男の人たちも
近くの部屋にいたから
怖くはなかった

地下の檻は、
奇麗な白い石でできていて
狭いけれど沢山のまきものや
柔らかくて
触り心地の良い敷き布があって
住み心地はとてもよかった

ここで勉強をしなさい、と
いわれた
来る日まで

……

メロンのような
高級な果実をだされたのを
おぼえている

檻にいれられながら
なにか、待遇や
扱いがとても良かった

……

たまに太った人や
高邁なひとがきて
なにかを言い
私をみて
帰っていった

……

少し大きくなったとき
檻のそとに
幼馴染がきた

いつものように
白い柱の間から
手を出して
握手をすると

君は生け贄になるんだよ
そういった

あと三月もして
誕生日をすぎたら
神様にささげられるんだ

……

この城から
ーー宗教的なものではなくて城だった
いくつか、街や山を
越えたところに
神様とつながるとか
神様をしってるとか
そういう人が
あらわれたらしい

君を連れて行くように
いま、王様にいっているからね

よく考えれば
彼は城の総括のようなことを
していたのだろう
それで、たくさんの情報を見聞きしたり
出入りややり取りができたのだろう

……

生け贄といっても
残酷ではなかった
むしろ誉れといわれていたし
皆そう思っていた

神様のものになるのだから

……

ーーもしも
生け贄として捧げることが
あやまちなら
この国にとっても
とても、よくないからね

幼馴染はそういって

連れて行くのは無理だったけれど
外出許可はおりた
必ず聞いて
戻ってくるからね、と

すこし先にあらわれたという
賢者か、神様の使いかに
会いに旅立った

……

誕生日の数日前
彼は賢者とともにもどり
王様につたえた

神様はそのようなことは
のぞまれていない

無駄におわる、と

賢者は、柔らかさのある
優しい青年で
年寄りを思い描いていた私は
ひどくおどろいた

彼は私と幼馴染を
自分の下につくように伝えた

幼馴染は、王様も誘ったが
王様は断られた
2017-10-11 07:00:00
世界の物語

遠い森の奥さま

遠い遠い森の中の城のような町があって
木々は青く白く
温かで湿り気をおびていた
風は木々の香りとともに
どこかの海の香りがした

たまに、そこでお世話になった
奥様が、私のところに
いらっしゃる

大きな方で、尻尾をもたれる
白い美しい背毛があり
尾長鳥のような尻尾をもたれる

奥様とのことは
なんとなく覚えておりますが
そこがなんで、
どこだったのかは
わかりません

私は人間で、奥様は神官をされていて
ほかの方々も奥様のようにおおきかった
ちょうど人間にとって
ハムスターのようなサイズで
私は、奥様の掌のなかでいつくしまれ
育てられた

私の夫としてもたらされた方は
その神殿の奥で
おなじように慈しまれ
育まれた男の方だった

奥様は神官のなかでも
位の高い方のようで
私と、旦那様を
神殿の奥の部屋にはこんで
いつも慈しみをもって
接してくださった

その地にはよく海から雷があり
海から嵐がたちのぼった

そうすると
その地の方々は
その神殿の奥につどい
しずかに、しずかに
嵐がすぎるのを待たれた

……

月に一度ほどあるバザーは盛況で
その地ではないところにも
国があるのをうかがい知れた

きれいな「ヒト」ですね

バザーを散歩する奥様について
ふたりで、その幅広い肩にのり
キョロキョロしていると
よくそういわれた

ペットのようだったけれど
ペットではなかった
もっとなにか、不思議な待遇
名誉ある命として
対応されていた

……

奥様は、よく
寝込まれていた
神が、おりるのですよ、と
ほかの神官に教えられた
私はちいさいながらも
奥様のせなかを
懸命にさすった

……

私のほうが
夫よりも
奥様よりも
先に天に召された

奥様は大涙をながして
声もなく、ふるえ
こらえていた

旦那様は
ぼくも、すぐにいくだろうから
あんしんしててね、といわれた
私は複雑な気持ちで旦那様の手を握り
私をつつむようにされた
奥様の掌にお礼のキスをした

あの地がそのあと
やがて滅んだのを
なにか、しっている
2017-10-10 07:00:00
世界の物語

太陽の城

ハンサムに描いてほしいといわれる
ハンサムに

……

太陽とよばれる国があって
太陽の城とよばれるところで
三人の王さまが
おさめていらした

城壁が白と銀色に光っていて
夕方になると
ひとりの王様の娘さんで
巫女をされているかたが
銀色のたくさんの鈴を
ひとつひとつにならして
夜が来るのを告げていた

ぎんごんがん、と
綺麗な音が
あまたにも重なり
しずんでいく太陽の
ひのひかりのなか
煌めきおちる

城下町はそれほど大きくないが
山を越えたところ
海を越えたところにも
町があって
みんな王様たちを慕っていた

……

その王様たちが
すこしはなしたいというので
呼ばれたのだ
わたしは、ここでは
異なる世界から
きたものになる

そういわれる

幾人かのお連れをともない
かれは天馬にのって
飛来してきたのだ

……

近くに温泉が湧いてあるらしい
浴びにいこうか

話し合いは
とどこおりなく
すんだようだ

観光支度をととのえながら
そういわれる
2017-10-09 10:11:47
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