抹茶ハニー味。万引き事件

デパートに行った、

入り口に桃色の椅子があって、そこで一杯の人が何かを待っていた。

桃色の長椅子の目の前にガラスで区切られた一角がある、

看板に「化粧の色を教えます、トータル」と書いてある。

私も桃色の長椅子の端っこに腰掛けて、トータルで呼ばれるのを待った。

人々は1人ずつとか2人いっぺんにとか

トータルに入っていく。

トータルのガラスの扉を開けて、中にいた人が出ていく。

長椅子をちょっとずつ移動してトータルに近づいていく列。

そして私の番になった、先に目の前にいた帽子をかぶった二人組の女の子達が席についていた、

青いデパート服を着たお姉さんが金色のガラスで出来た長机の向こうがわに座ってる。

私たちはその両脇について、お姉さんの言葉を待った。

「では、質問です」

お姉さんは何かの紙をトントンと揃えながら言った。

お姉さんの後ろには

パステルカラーでオレンジ色のもようを持ったキリンが首だけでゆらいでいた。

お姉さんが何かを聞いて、私たちが1人1人何かを答えた。

ここら辺は良く覚えてない。

顎で「あなたは?」と指され、答えた事だけは覚えている。

「では次に質問です。」

お姉さんは紙に何か書き込みながら言った。

「新撰組と思い浮かべてホモと思うのは?」

「私は松本清張の『新撰組』ぐらいしか・・・・」

ピンクの帽子をかぶった子が言った。

私はぼーーーーっと「松本清張って新撰組書いてたのかぁ」と思っていたので

お姉さんに指示されたとき、慌てて

「私もそれぐらいしか」と答えてしまった。

お姉さんは何かを紙に書き込んだ。

私はそのときやっと新撰組がどんな話だったか思い出したので

「あの、ホモって事は沖田がどうとか、そういうことですか?」

とお姉さんに聞いた。

するとお姉さんは横を向いて、口の端でにやぁと笑った。

「笑ってる!笑ってるよぉ!」

「すごい笑ってる!」

私たちは口々に言った。

すると首だけのキリンがにゅーっと首を伸ばして

ピンクの帽子の女の子の帽子をさくっと噛んだ。

「何するんだお」

女の子はキリンの首をグビッと両手で掴んで持ち上げた。

キリンは無理に首を伸ばされて今にも死にそうだった。

「しんじゃうよぉ、やめてやめて!!」

私が叫ぶと女の子は首を放してくれた。

キリンは私に助けられたのが解ったのか、

「ありがとう」とでも言うように、私の方へ首を伸ばした。

オレンジ色の睫がものすごく長くて半分目を閉じていた。

此処はあんまり覚えてない。

「ちょっと困るなぁ」と思ったことや、

お姉さんが「では問題です」と言ったことが

おぼろげに覚えている。

思い出せるのは質問が終わってからだ。

お姉さんはおもむろに席を立つと二枚の紙を私たちにそれぞれ渡した。

一枚には化粧のらっきからーと私の「占った」性格が書かれていた。

「ちょっと短気!でも、気にしないで♪」

お姉さんは「それは占った結果だから真実よ、」と言った。

『そうか、化粧品占いをやっているのか、通りでおじさんとかも並んでいたはずだ』

私が外に出ようとしたら折しも1人のスーツを着たおじさんが入ってこようとしていた。

お姉さんは部屋の電気を消して

部屋を出て、「本日は終了しました」と書いた紙をドアに張り付けた。

おじさんは「ナンだ!!私は++議員なんだぞ!!なんとかならないのか!?」

「申し訳ありません、本日は終了しましたので・・・・」

++議員が占いにナンのようだ。と思いながらも

ぺこりと頭を下げるお姉さんをあとにした。

暗いデパートの中で終了の音楽がなっていた。

次々と光が消えていく。

「今日の販売はすべて終了しました」

歌うようなアナウンス。

ぶらぶら歩いていると大口の出入り口の前に

「抹茶ハニー味」と蜂蜜と抹茶がせっとで売られていた。

私は面白いな、と思ってそれに近づいた。

抹茶の袋(ディスプレイで並べられていた袋)を持ち、重さを確かめる。

『この間万引きした人はつかまらなかった、

何気ない顔をして外に出て走り出せば見付からないのだ』

抹茶ハニー味なんてちっとも欲しくなかったが、

私はディスプレイ(抹茶の袋と蜂蜜の瓶)の下に敷いてあったすでに包装されている品を掴んで

ぴーぴーぴー♪と口笛を吹きながら出口に向かった。

誰も店を終了させるのが大変で私には気づいていないようだった。

「おい、あれあったよなぁ」

「なにが」

「抹茶ハニー味のさ」

誰かが誰かと話していた。心臓がものすごくドキドキした。

私は出口につくまでわざとゆっくりと歩いて、

出口についてから猛スピードで走り出した。

町は暗く、すぐ其処に(右に)駅があった。

町並みは古い明治時代の町内に似ていた。

誰かが砂利道に水を撒いていた。

とても早く駅に着いた。

抹茶を握りしめながら私は「ただいま」と言った。

委員長先生が「あらあら、ららちゃん。お土産買ってきたの?」と言って迎えてくれた。

駅は何故か幼稚園だった。でも駅である証拠にプラットホームがあった。

私はプラットホームに向かいながら

「もう外、すごく暗いよ」と言った。